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以前から私は /r//j/ は似ていると発言しています。日本語の音世界から考えると、全く似ていない音に思えますね。音声学的には両方とも半母音という共通点がありますが、「両方、そういう分類に所属しているだけで、どこが似ているのか?」という声が聞こえてきそうです。

変更履歴
 2013/09/24:中見出し2つと ロゴマーク表示の追加。
 2013/09/26: 記事タイトル変更、記事のカテゴリー変更。


1.639式による /j//r/ の比較


639式では、英語の各音は、1)どのように音を出しているか。、2)どこで音がしている(ように聞こえる)か、の2つだけで区別していると考えています。日本語の音のイメージで/r//j/ を考えてはいけません。


図1:/j/


図2:そり舌の /r/ 



図3:盛り上がり舌の /r/ 図4:盛り上がり舌の /r/ (省エネバージョン)
※殆ど舌が盛り上がらない

639式で見ると、/r//j/ は下記のようになります。/j/共通する部分を青色で、異なっている部分を赤色で色分けしました。

表1
No.音の判別要素/j/
(図1)
そり舌の/r/
(図2)
盛上がり舌の/r/
(図3、図4)
1.どのように
音を出しているか
舌先平らにした
(緑線)部分の振動
舌先仮想キャンディ
振動
舌の真ん中辺り
仮想キャンディ
振動
2.どこで
音がしているか
 口内前部の上部にて
下に移動 
 口内前部の上部にて
静止 
 口内中部の下部にて
静止 


上記表を見ると、/j/により近いのはそり舌の/r/の方ですね。まず、準備段階として、それを覚えておいて下さい。


2./r//j/へ変化する実例


 /r//j/ が似ているのであれば、/r//j/ に変化したり、逆に /j//r/ に変化することがあるかも知れない。そう思い、ちょっと探してみました。ありましたよ、有名なのが!アメリカでは February のひとつ目の r の字を /r/ ではなく、/j/ で発音します。ご存じない方は、お手持ちの辞書を参照して下さい。

(1)英語音声学ではどう捉えているか、見てみましょう。


------- 「英語音声学入門」 著:松坂ヒロシ p.146~p.147 引用開始 --------
はじめの話題は異化(dissimilation)である。これは,同化の反対の概念である。
つまり,ある音を近隣の音から性格的に遠ざけることにより,発音を楽にすることである。
(中略)

同じアメリカ英語に,February [fɛˈbjuˌɛri] なる発音がある。この語の本来の発音は
[fɛˈbruˌɛri]  であるが,ふたつあるうちの [r] の最初のほうのものが,あとの [r] から
性格上遠ざかり,同じ移行音でも調音位置の遠い [j] に変わることがある。これも異化の例である。
------- 「英語音声学入門」 著:松坂ヒロシ p.146~p.147 引用終了 --------

引用部分が言っていることをもっと分かりやすく表現しなおすと、
  • Februaryにて、 /r/ が二つあるために両方の /r/ が発音しづらい。
  • そこで一つ目の /r/ /j/ に置き換えることによって発音しやすくなる。


(2)639式で、この音の変化現象を再現できるか?


639式の /r/で、 Februaryを発音し、1つ目の /r//j/ に変化するか実験してみました。639式の /r/ には三種類あります。(図2,図3,図4を参照の事)この実験では、図2と図4の /r/ を使いました。それぞれ、ゆっくりスピードとノーマルスピードで February を発音して検証しました。

表2
No./r/の種類スピード結果
1. 639式そり舌の /r/ ゆっくり 変化しない
2. 639式そり舌の /r/ ナチュラルスピード 変化する
3. 639式盛上がり舌の /r/ ゆっくり 変化しない
4. 639式盛上がり舌の /r/ ナチュラルスピード 変化しない

上記表の通り、/r/ をそり舌の /r/ で、且つ、ナチュラルスピードで発音した場合のみ、 February の1つ目の /r//j/ に変化しました。 

やってみて分かったのですが、/u/ の発音がちゃんとできていないと、この変化は起きません。 /u/ にて舌が口内後部で隆起するのをちゃんとできているからこそ、始めて発生する現象です。口内後部が隆起するということは、舌が口内前部では下がっているということ。

  • そり舌の /r/ → /u/ へ移行時、/u/ が口内後部で舌が隆起するために、/r/ のそり舌をいつもより早く解除し、平たくする必要がある。
  • そり舌を解除した後も /r/ による舌の振動が少しの間、持続する。
こうなると、表1の /j/ と、そり舌の /r/ の違いがなくなることに注目して下さい。

言い換えれば、 そり舌の/r/ + /u/ の連続 を ナチュラルスピードで発音すると、/j/ へ変化する、と言えそうです。

(3)松坂本への反論

(1)で示した、2つ目の /r/ の影響で、 1つ目の /r/ が発音しづらくなり、/j/ へと異化したという松坂氏の見解は、正しくないでしょう。だって、1つ目の /r/ と 2つ目の /r/  は別々のシラブルの中にあるんですよ。隣接してないじゃないですか。距離が遠すぎます。百歩譲って、2つ目の /r/ の影響が1つ目の /r/ に及ぶとしても、じゃ、なぜ 1つ目の /r/ が /j/ に変わるのか、そのメカニズムが不明ですね。同じ移行音の /w/ に変化しないのはどうして?
ダメ押しします。2つ目の /r/ が存在しなくても、この現象は発生しますよ(笑)
februation なる存在しない単語を作って、そり舌 + ナチュラルスピードで発音しても、/r//j/ に変化しましたよ。

(4)考察

英国ではなく、どうしてアメリカで1つ目の /r/ を /j/ を発音するのが定着しているのか、推測してみました。
  • アメリカの /r/ には、そり舌の /r/ (少数派)と 盛り上がり舌の /r/ (多数派)が存在する。
  • そり舌で ナチュラルスピードで発音した時のみ、1つ目の /r/ が /j/ に変わる。
  • 英国ではその変化を単なる言い間違いとして処理し、怠惰な発音の許容範囲が広いアメリカでは、この変化が許容された。
  • 一旦、それが広く認知されると、盛り上がり舌の /r/ を使う話者ですら、 1つ目の /r/ を /j/ へ置き換えて発音するようになった。これは音の変化ではなく、故意に音を置き換えている。
  • 今では、盛り上がり舌の /r/ を使う話者や、ゆっくり発音する話者においても、 [fɛˈbjuˌɛri]  と発音する。
ここまで書いたところで、英国でも、この発音が許容されていることを今、知りました。 あれ? この現象はアメリカ英語での事例として有名なんですけどね。。。 ネットで複数の辞書を見ると、辞書によっても違いますね。アメリカ英語の発音の特徴として書かれている辞書、 アメリカ、英国、両方、1つ目の r が /j/として発音されるのが許容されているとしている辞書。両方あります。 上の私の推論は、実際は、もう少し複雑なのかも。ひょっとして、少数派のそり舌の /r/ の国、アメリカで認知された後、そり舌の /r/ の本家、英国に逆輸入された可能性もあります。

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1.639式による /j//r/ の比較


639式では、英語の各音は、1)どのように音を出しているか。、2)どこで音がしている(ように聞こえる)か、の2つだけで区別していると考えています。日本語の音のイメージで/r//j/ を考えてはいけません。


図1:/j/


図2:そり舌の /r/ 



図3:盛り上がり舌の /r/ 図4:盛り上がり舌の /r/ (省エネバージョン)
※殆ど舌が盛り上がらない

639式で見ると、/r//j/ は下記のようになります。/j/共通する部分を青色で、異なっている部分を赤色で色分けしました。

表1
No.音の判別要素/j/
(図1)
そり舌の/r/
(図2)
盛上がり舌の/r/
(図3、図4)
1.どのように
音を出しているか
舌先平らにした
(緑線)部分の振動
舌先仮想キャンディ
振動
舌の真ん中辺り
仮想キャンディ
振動
2.どこで
音がしているか
 口内前部の上部にて
下に移動 
 口内前部の上部にて
静止 
 口内中部の下部にて
静止 


上記表を見ると、/j/により近いのはそり舌の/r/の方ですね。まず、準備段階として、それを覚えておいて下さい。


2./r//j/へ変化する実例


 /r//j/ が似ているのであれば、/r//j/ に変化したり、逆に /j//r/ に変化することがあるかも知れない。そう思い、ちょっと探してみました。ありましたよ、有名なのが!アメリカでは February のひとつ目の r の字を /r/ ではなく、/j/ で発音します。ご存じない方は、お手持ちの辞書を参照して下さい。

(1)英語音声学ではどう捉えているか、見てみましょう。


------- 「英語音声学入門」 著:松坂ヒロシ p.146~p.147 引用開始 --------
はじめの話題は異化(dissimilation)である。これは,同化の反対の概念である。
つまり,ある音を近隣の音から性格的に遠ざけることにより,発音を楽にすることである。
(中略)

同じアメリカ英語に,February [fɛˈbjuˌɛri] なる発音がある。この語の本来の発音は
[fɛˈbruˌɛri]  であるが,ふたつあるうちの [r] の最初のほうのものが,あとの [r] から
性格上遠ざかり,同じ移行音でも調音位置の遠い [j] に変わることがある。これも異化の例である。
------- 「英語音声学入門」 著:松坂ヒロシ p.146~p.147 引用終了 --------

引用部分が言っていることをもっと分かりやすく表現しなおすと、
  • Februaryにて、 /r/ が二つあるために両方の /r/ が発音しづらい。
  • そこで一つ目の /r/ /j/ に置き換えることによって発音しやすくなる。


(2)639式で、この音の変化現象を再現できるか?


639式の /r/で、 Februaryを発音し、1つ目の /r//j/ に変化するか実験してみました。639式の /r/ には三種類あります。(図2,図3,図4を参照の事)この実験では、図2と図4の /r/ を使いました。それぞれ、ゆっくりスピードとノーマルスピードで February を発音して検証しました。

表2
No./r/の種類スピード結果
1. 639式そり舌の /r/ ゆっくり 変化しない
2. 639式そり舌の /r/ ナチュラルスピード 変化する
3. 639式盛上がり舌の /r/ ゆっくり 変化しない
4. 639式盛上がり舌の /r/ ナチュラルスピード 変化しない

上記表の通り、/r/ をそり舌の /r/ で、且つ、ナチュラルスピードで発音した場合のみ、 February の1つ目の /r//j/ に変化しました。 

やってみて分かったのですが、/u/ の発音がちゃんとできていないと、この変化は起きません。 /u/ にて舌が口内後部で隆起するのをちゃんとできているからこそ、始めて発生する現象です。口内後部が隆起するということは、舌が口内前部では下がっているということ。

  • そり舌の /r/ → /u/ へ移行時、/u/ が口内後部で舌が隆起するために、/r/ のそり舌をいつもより早く解除し、平たくする必要がある。
  • そり舌を解除した後も /r/ による舌の振動が少しの間、持続する。
こうなると、表1の /j/ と、そり舌の /r/ の違いがなくなることに注目して下さい。

言い換えれば、 そり舌の/r/ + /u/ の連続 を ナチュラルスピードで発音すると、/j/ へ変化する、と言えそうです。

(3)松坂本への反論

(1)で示した、2つ目の /r/ の影響で、 1つ目の /r/ が発音しづらくなり、/j/ へと異化したという松坂氏の見解は、正しくないでしょう。だって、1つ目の /r/ と 2つ目の /r/  は別々のシラブルの中にあるんですよ。隣接してないじゃないですか。距離が遠すぎます。百歩譲って、2つ目の /r/ の影響が1つ目の /r/ に及ぶとしても、じゃ、なぜ 1つ目の /r/ が /j/ に変わるのか、そのメカニズムが不明ですね。同じ移行音の /w/ に変化しないのはどうして?
ダメ押しします。2つ目の /r/ が存在しなくても、この現象は発生しますよ(笑)
februation なる存在しない単語を作って、そり舌 + ナチュラルスピードで発音しても、/r//j/ に変化しましたよ。

(4)考察

英国ではなく、どうしてアメリカで1つ目の /r/ を /j/ を発音するのが定着しているのか、推測してみました。
  • アメリカの /r/ には、そり舌の /r/ (少数派)と 盛り上がり舌の /r/ (多数派)が存在する。
  • そり舌で ナチュラルスピードで発音した時のみ、1つ目の /r/ が /j/ に変わる。
  • 英国ではその変化を単なる言い間違いとして処理し、怠惰な発音の許容範囲が広いアメリカでは、この変化が許容された。
  • 一旦、それが広く認知されると、盛り上がり舌の /r/ を使う話者ですら、 1つ目の /r/ を /j/ へ置き換えて発音するようになった。これは音の変化ではなく、故意に音を置き換えている。
  • 今では、盛り上がり舌の /r/ を使う話者や、ゆっくり発音する話者においても、 [fɛˈbjuˌɛri]  と発音する。
ここまで書いたところで、英国でも、この発音が許容されていることを今、知りました。 あれ? この現象はアメリカ英語での事例として有名なんですけどね。。。 ネットで複数の辞書を見ると、辞書によっても違いますね。アメリカ英語の発音の特徴として書かれている辞書、 アメリカ、英国、両方、1つ目の r が /j/として発音されるのが許容されているとしている辞書。両方あります。 上の私の推論は、実際は、もう少し複雑なのかも。ひょっとして、少数派のそり舌の /r/ の国、アメリカで認知された後、そり舌の /r/ の本家、英国に逆輸入された可能性もあります。
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