第39回目です。今回も番外編です。
変更履歴
2009/06/15:WEB拍手設置
変更履歴
2009/06/15:WEB拍手設置
番外編6
記事「【書籍「英語喉」レビュー】第33回」にて、キャンディ・メソッドの「透視」・「体感」により、KAZ氏の二つの【ae】(a と a)に違いはないと結論づけました。
今回は、フォルマントにより、KAZ氏の二つの【ae】が同じ発音なのか、異なる発音なのかを検証したいと思います。
フォルマントの見方
- F1:値が低い=舌の高さが高い、 値が高い= 舌の高さが低い=顎が下がっている
- F2:値が低い=後舌、 値が高い=前舌
- F3:値が低い=唇が丸まっている
フォルマントの参考値
- 日本人男性の「ア」の平均値:F1が775Hz, F2が1163Hz
- 日本人男性の「イ」の平均値:F1が263Hz, F2が2263Hz
- 日本人男性の「ウ」の平均値:F1が363Hz, F2が1300Hz
- 日本人男性の「エ」の平均値:F1が475Hz, F2が1738Hz
- 日本人男性の「オ」の平均値:F1が550Hz, F2が838Hz
尚、今回、フォルマント表示に使用したフリーソフトは、wavesurfer です。
今回の記事で使用した wavesuferの画面は、「Configuration」として "Demonstration"を選択し、更に"Formant Plot"ペインを追加したものです。
下記のKAZ氏の音声を検証対象としました。
尚、下記の音声の内、音量が小さすぎるものについては、音量を増幅(ノーマライズ)しました。音声のスペクトログラムが綺麗に現れないのを防ぐためです。市販の英語教材のCDでノーマライズしてないなんてありえないと思いました。
- 文1:(drill 03,p.226) "What Languages do you speak, other than English and Japanese?"
- 文2:(drill 03,p.226) "Is that harder than Japanese?"
- 文3:(drill 02,p.224) "it's brand new!"
- 文4:(drill 01,p.220) "I have a cold."
1.KAZ氏のa(=次の音がNである場合の【ae】)
下記の音声を検証します。- (A) 文1の "than" の【ae】、短めの発音時間、 0.058秒
- (B) 文2の "than" の【ae】、短めの発音時間、 0.073秒
- (C) 文3の "brand"の【ae】、長めの発音時間、 0.125秒
(A)のフォルマント
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:390Hz → 700Hz → 緩やかに630Hzへ下降
- F2:1340Hz → 1270Hz (ほぼ水平、緩やかに下降)
- F3:2800Hz前後で、ほぼ水平
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 「ア」程度 →少し下顎を上に戻す(Nの準備)
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌。
- 唇の丸めの変化無し
(B)のフォルマント
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:330Hz → 550Hz → 250Hz
- F2:1,350Hz で水平 → 最後に1,563Hzへ上昇
- F3:2,700Hzで水平 → 一時的に2,900Hzへ上昇→2,700Hz
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 少し下顎を下げた(「オ」程度) → 下顎を上に戻す(Nの準備)
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌 → 最後に舌先を少し上に上げた(Nの準備)
- 一時的に、少し唇の丸めに変化あり
(C)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:480Hz → 900Hz
- F2:1,500Hzで水平
- F3:2,300Hz → 2,700Hz
です。
- 下顎の下げ方:「エ」程度 → 日本語の「ア」より顎が下がった。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌を継続。
- 唇の丸めが弛緩した。(【ae】の前の音【r】の影響)
KAZ氏のaの共通点
上記3つのKAZ氏のa(=次の音がNである場合の【ae】)をフォルマントで分析しました。前後の音の影響を考慮して、3つのaの共通点を抽出すると、
です。「エ」程は舌の前部は上に上がっていない点がポイントです。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌
この結果は、記事「【書籍「英語喉」レビュー】第33回」 のキャンディ・メソッドの「透視」・「体感」通りでしょ?
2.KAZ氏のa(=次の音がNではない【ae】)
下記の音声を検証します。- (A) 文1の "Japanese"の "Ja"の【ae】、長めの発音時間、0.194秒
- (B) 文2の "Japanese"の "Ja"の【ae】、長めの発音時間、0.149秒
- (C) 文4の "have"の【ae】長い発音、長めの発音時間、0.167秒
(A)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
- F1:300Hz → 緩やかに800Hzまで上昇 → 緩やかに600Hzまで下降
- F2:1,600Hz → 1,300Hz
- F3:2,500Hz前後で緩やかに変化
この事から読み取れることは、
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 「ア」程度
- 舌は「エ」付近に上がった舌の前部を「ウ」付近にまで下げた。
- 唇は【ae】の前の J, 【ae】の後のPの影響をかすかに受けている。
(B)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
- F1:380Hz → 760Hzまで緩やかに上昇 →暫く760Hz付近が続く → 終盤で300Hzまで下降
- F2:1,800Hz → 1,200Hzまで緩やかに下降
- F3:2,600Hz → 2,200Hzまで緩やかに下降
この事から読み取れることは、
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度(先行のJの影響)→ 「ア」程度 → 「ウ」程度(後続のPの影響)
- 舌は「エ」付近に上がった舌の前部を「ウ」付近にまで下げた。
- 唇は後続のPの影響で緩やかに丸めを強めていった。
(C)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:950Hz前後でほぼ一定
- F2:1800Hz → 緩やかに1500Hzまで下降
- F3:2,600Hz → 2,500Hzまで緩やかに下降
です。
- 下顎の下げ方:「ア」以上に下顎が下がっている。
- 舌は「エ」付近の前舌 → 「エ」と「ウ」の間の前舌
- 唇の丸めは殆ど変化無し
KAZ氏のaの共通点
上記3つのKAZ氏のa(=次の音がNではない【ae】)をフォルマントで分析しました。
3つのaの共通点を抽出すると、
です。但し、a(=次の音がNである【ae】)より、舌の前部の位置が若干高めです。実際の距離にすると、5ミリも変わらないでしょう。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌
しかし、これは aの前の音の影響である可能性も考えられます。上記(A)と(B)の場合、aの直前の音がJであり、舌先の位置はかなり高いです。また、別の記事にする予定ですが、ネイティブと異なり、KAZ氏のHは前舌です。彼の書籍「英語喉」によるとハ行からHを抽出する、と書いてありますから当然と言えるでしょう。
私のキャンディ・メソッドによる「透視」・「体感」では、KAZ氏のaと aに違いを見つけられませんでしたが、フォルマントの分析では、数ミリ(多分、5ミリ以内)、aの方が舌先の位置が高いという結果が出ました。
aについては、別のKAZ氏の音声で、再度、フォルマントを調べてみるつもりです。
← 【書籍「英語喉」レビュー】第38回 【書籍「英語喉」レビュー】第40回 →
PR
番外編6
記事「【書籍「英語喉」レビュー】第33回」にて、キャンディ・メソッドの「透視」・「体感」により、KAZ氏の二つの【ae】(a と a)に違いはないと結論づけました。
今回は、フォルマントにより、KAZ氏の二つの【ae】が同じ発音なのか、異なる発音なのかを検証したいと思います。
フォルマントの見方
- F1:値が低い=舌の高さが高い、 値が高い= 舌の高さが低い=顎が下がっている
- F2:値が低い=後舌、 値が高い=前舌
- F3:値が低い=唇が丸まっている
フォルマントの参考値
- 日本人男性の「ア」の平均値:F1が775Hz, F2が1163Hz
- 日本人男性の「イ」の平均値:F1が263Hz, F2が2263Hz
- 日本人男性の「ウ」の平均値:F1が363Hz, F2が1300Hz
- 日本人男性の「エ」の平均値:F1が475Hz, F2が1738Hz
- 日本人男性の「オ」の平均値:F1が550Hz, F2が838Hz
尚、今回、フォルマント表示に使用したフリーソフトは、wavesurfer です。
今回の記事で使用した wavesuferの画面は、「Configuration」として "Demonstration"を選択し、更に"Formant Plot"ペインを追加したものです。
下記のKAZ氏の音声を検証対象としました。
尚、下記の音声の内、音量が小さすぎるものについては、音量を増幅(ノーマライズ)しました。音声のスペクトログラムが綺麗に現れないのを防ぐためです。市販の英語教材のCDでノーマライズしてないなんてありえないと思いました。
- 文1:(drill 03,p.226) "What Languages do you speak, other than English and Japanese?"
- 文2:(drill 03,p.226) "Is that harder than Japanese?"
- 文3:(drill 02,p.224) "it's brand new!"
- 文4:(drill 01,p.220) "I have a cold."
1.KAZ氏のa(=次の音がNである場合の【ae】)
下記の音声を検証します。- (A) 文1の "than" の【ae】、短めの発音時間、 0.058秒
- (B) 文2の "than" の【ae】、短めの発音時間、 0.073秒
- (C) 文3の "brand"の【ae】、長めの発音時間、 0.125秒
(A)のフォルマント
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:390Hz → 700Hz → 緩やかに630Hzへ下降
- F2:1340Hz → 1270Hz (ほぼ水平、緩やかに下降)
- F3:2800Hz前後で、ほぼ水平
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 「ア」程度 →少し下顎を上に戻す(Nの準備)
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌。
- 唇の丸めの変化無し
(B)のフォルマント
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:330Hz → 550Hz → 250Hz
- F2:1,350Hz で水平 → 最後に1,563Hzへ上昇
- F3:2,700Hzで水平 → 一時的に2,900Hzへ上昇→2,700Hz
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 少し下顎を下げた(「オ」程度) → 下顎を上に戻す(Nの準備)
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌 → 最後に舌先を少し上に上げた(Nの準備)
- 一時的に、少し唇の丸めに変化あり
(C)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:480Hz → 900Hz
- F2:1,500Hzで水平
- F3:2,300Hz → 2,700Hz
です。
- 下顎の下げ方:「エ」程度 → 日本語の「ア」より顎が下がった。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌を継続。
- 唇の丸めが弛緩した。(【ae】の前の音【r】の影響)
KAZ氏のaの共通点
上記3つのKAZ氏のa(=次の音がNである場合の【ae】)をフォルマントで分析しました。前後の音の影響を考慮して、3つのaの共通点を抽出すると、
です。「エ」程は舌の前部は上に上がっていない点がポイントです。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌
この結果は、記事「【書籍「英語喉」レビュー】第33回」 のキャンディ・メソッドの「透視」・「体感」通りでしょ?
2.KAZ氏のa(=次の音がNではない【ae】)
下記の音声を検証します。- (A) 文1の "Japanese"の "Ja"の【ae】、長めの発音時間、0.194秒
- (B) 文2の "Japanese"の "Ja"の【ae】、長めの発音時間、0.149秒
- (C) 文4の "have"の【ae】長い発音、長めの発音時間、0.167秒
(A)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
- F1:300Hz → 緩やかに800Hzまで上昇 → 緩やかに600Hzまで下降
- F2:1,600Hz → 1,300Hz
- F3:2,500Hz前後で緩やかに変化
この事から読み取れることは、
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度 → 「ア」程度
- 舌は「エ」付近に上がった舌の前部を「ウ」付近にまで下げた。
- 唇は【ae】の前の J, 【ae】の後のPの影響をかすかに受けている。
(B)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
- F1:380Hz → 760Hzまで緩やかに上昇 →暫く760Hz付近が続く → 終盤で300Hzまで下降
- F2:1,800Hz → 1,200Hzまで緩やかに下降
- F3:2,600Hz → 2,200Hzまで緩やかに下降
この事から読み取れることは、
です。
- 下顎の下げ方:「ウ」程度(先行のJの影響)→ 「ア」程度 → 「ウ」程度(後続のPの影響)
- 舌は「エ」付近に上がった舌の前部を「ウ」付近にまで下げた。
- 唇は後続のPの影響で緩やかに丸めを強めていった。
(C)のフォルマント
![]()
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【ae】部分です。
この事から読み取れることは、
- F1:950Hz前後でほぼ一定
- F2:1800Hz → 緩やかに1500Hzまで下降
- F3:2,600Hz → 2,500Hzまで緩やかに下降
です。
- 下顎の下げ方:「ア」以上に下顎が下がっている。
- 舌は「エ」付近の前舌 → 「エ」と「ウ」の間の前舌
- 唇の丸めは殆ど変化無し
KAZ氏のaの共通点
上記3つのKAZ氏のa(=次の音がNではない【ae】)をフォルマントで分析しました。
3つのaの共通点を抽出すると、
です。但し、a(=次の音がNである【ae】)より、舌の前部の位置が若干高めです。実際の距離にすると、5ミリも変わらないでしょう。
- 舌は「ウ」と「エ」の間の前舌
しかし、これは aの前の音の影響である可能性も考えられます。上記(A)と(B)の場合、aの直前の音がJであり、舌先の位置はかなり高いです。また、別の記事にする予定ですが、ネイティブと異なり、KAZ氏のHは前舌です。彼の書籍「英語喉」によるとハ行からHを抽出する、と書いてありますから当然と言えるでしょう。
私のキャンディ・メソッドによる「透視」・「体感」では、KAZ氏のaと aに違いを見つけられませんでしたが、フォルマントの分析では、数ミリ(多分、5ミリ以内)、aの方が舌先の位置が高いという結果が出ました。
aについては、別のKAZ氏の音声で、再度、フォルマントを調べてみるつもりです。
← 【書籍「英語喉」レビュー】第38回 【書籍「英語喉」レビュー】第40回 →
ブログ制御
閲覧履歴
プロフィール
HN:
某スレの639
性別:
非公開
自己紹介:
アバター by Abi-Station
本でもネットでも他には絶対無い、英語発音の完全独自メソッド公開中!
2ちゃんねるの英語板の住人、発展途上の一英語学習者
メールを送る
当ブログについて
私の発音はコチラ
本でもネットでも他には絶対無い、英語発音の完全独自メソッド公開中!
2ちゃんねるの英語板の住人、発展途上の一英語学習者
メールを送る
当ブログについて
私の発音はコチラ
最新コメント
皆様のご意見
閲覧ランキング
(月間:2018/08/15~2018/09/15)
1.
お久しぶりです!
2.
英語鼻習得ガイダンス
11.
【英語息】第1回:理論編
12.
【キャンディ・メソッド】第21回
12.
【キャンディ・メソッド】第2回
12.
【キャンディ・メソッド】第4回
16.
英語鼻の記事一覧
16.
【キャンディ・メソッド】第3回
18.
【英語鼻:第1段階】第3回
19.
【英語喉レビュー】第42回
掲示板
【当ブログ専用掲示板】
【ハンドルネーム639が誕生した2ちゃんねるのスレッド】
【2ちゃんねるの639式スレッド】
【ハンドルネーム639が誕生した2ちゃんねるのスレッド】
【2ちゃんねるの639式スレッド】
記事カテゴリー
カレンダー
過去の記事
ブログ内検索
ロゴマーク







閲覧履歴画面
javascript 関数単体テスト用