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第35回目です。今回は番外編です。


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2009/06/15:WEB拍手設置

番外編2


記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」にて、Drill 01 のKAZ氏の【w】が英語のネイティブスピーカーの発音方法と異なっている、と書きました。

キャンディ・メソッドの「透視」・「体感」と、KAZ氏【w】の音の途中から高い周波数成分が発生していないことを根拠として、このように私は書いたのですが、「そうかな〜?」と納得できていない人も多い筈。

今回はKAZ氏と英語のネイティブスピーカーとで、【w】の発音が同じなのか、異なるのか、前回より科学的に、フォルマントを見て検証してみたいと思います。


フォルマントの見方
  • F1:値が低い=舌の高さが高い、 値が高い= 舌の高さが低い=顎が下がっている
  • F2:値が低い=後舌、 値が高い=前舌
  • F3:値が低い=唇が丸まっている

フォルマントの参考値
  • 日本人男性の「ア」の平均値:F1が775Hz, F2が1163Hz
  • 日本人男性の「イ」の平均値:F1が263Hz, F2が2263Hz
  • 日本人男性の「ウ」の平均値:F1が363Hz, F2が1300Hz
  • 日本人男性の「エ」の平均値:F1が475Hz, F2が1738Hz
  • 日本人男性の「オ」の平均値:F1が550Hz, F2が838Hz
  • 日本人女性の「ア」の平均値:F1が888Hz, F2が1363Hz
  • 日本人女性の「イ」の平均値:F1が325Hz, F2が2725Hz
  • 日本人女性の「ウ」の平均値:F1が375Hz, F2が1675Hz
  • 日本人女性の「エ」の平均値:F1が483Hz, F2が2317Hz
  • 日本人女性の「オ」の平均値:F1が483Hz, F2が925Hz

尚、今回、フォルマント表示に使用したフリーソフトは、wavesurfer です。
今回の記事で使用した wavesuferの画面は、「Configuration」として "Demonstration"を選択し、更に"Formant Plot"ペインを追加したものです。



1. "Well"の【w】を比較してみた

(1)KAZ氏の "well"の W (【w】)

※Drill 01, 会話1の文 "I'm not feeling well." (p.220)


図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1:500Hz辺りで、ほぼ水平
  • F2:1300Hz辺りで、ほぼ水平
  • F3:2700Hz → 2400Hz → 2700Hz
この事から読み取れることは、
  • 舌は基本形です。(顎はあまり下がっていない。舌は中舌。)
  • 唇付近の筋肉がほんの僅かに、弛緩→丸め→弛緩 へと遷移している。
です。

一言で言うと、KAZ氏の "well"の【w】は、舌の動きは全く無く、唇付近の筋肉だけが僅かに動いている、という事です。
私が記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」の「4.(3)A」で、「透視」した通りでしょ?

(2)goo辞書の単語 "well"の【w】

goo辞書の単語 "well"のフォルマントを見てみましょう。
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 340Hz →  500Hz へ上昇
  • F2: 1200Hz → 800Hz → 1500Hzへ変化。
  • F3: 3000Hz辺りで、ほぼ水平
この事から読み取れることは、
  • 顎の下げ方の変化は小さい。
  • 中舌→後舌→中舌へ変化。
  • 唇の丸めの変化は殆どない。
です。
これは記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」の「4.(3)C」で書いたキャンディ・メソッドの方法と同じです。

(3)excite辞書の単語 "well"の【w】

excite辞書の単語 "well"のフォルマントを見てみましょう。

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 290Hz → 400Hz
  • F2:2000Hz辺りで小刻みに変化 → 740Hz → 930Hz
  • F3:3000Hz辺りで小刻みに変化
この事から読み取れることは、
  • 顎の下げ方の変化は小さい。
  • 舌が後舌に変化した後、中舌へ戻る変化が見られる。
  • 唇を丸めている。
です。


(4)KAZ氏と英語ネイティブの【w】の違い

上記(1)〜(3)により、KAZ氏と英語のネイティブスピーカーとでは、【w】の発音方法が異なることが分かると思います。
一番の違いは、KAZ氏は舌の奥を上げて、そして下げるという、英語ネイティブが行っている動作をしていない、ということです。
え? 比較方法が卑怯? KAZ氏のは、文章の中の "well"であるのに対して、英語ネイティブのは、単語として発音した "well"でしょ、だって?

うーん、そうですね。単語で発音した "well"と、文章の中の "well"に何か違いがあることは否定できませんね。

では、次はもっと条件を揃えて、KAZ氏と英語ネイティブが同じ文章を読んでいる音声で比較してみます。


2. "Guess what?"の【w】を比較してみた


(1)KAZ氏の "what"の W (【w】)

※Drill 02, 会話2の文 "Guess what." (p.224)

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1:500Hz辺りで、ほぼ水平
  • F2:1000Hz辺りで、ほぼ水平
  • F3:2700Hz辺りで、ほぼ水平
この事から読み取れることは、
  • 舌は基本形です。(顎はあまり下がっていない。舌は中舌。)
  • 【w】は途中で音が変わる音素ですが、KAZ氏のこの【w】は「ウ」にも似た響きを持つ弱母音で発音し、途中で音を変えてはいません。


(2)CDの女性ネイティブのW (【w】)

※Drill 02, "Guess what." (p.222)

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 350Hz → 650Hz
  • F2:1000Hz → 1500Hz
  • F3:2700Hz辺りでほぼ平坦

この事から読み取れることは、
  • 後舌から後、中舌へ戻る変化が見られる。
  • 唇の丸めは少ない。
です。


(3)KAZ氏と英語ネイティブの【w】の違い

書籍「英語喉」に収録されたKAZ氏と、女性の英語ネイティブの【w】を比較しました。
上記(1),(2)は同じ文章、"Guess what."の中の【w】について、フォルマントを調べました。

検証結果はやはり、上記1(4)と同じです。

一番の違いは、KAZ氏は舌の奥を上げて、そして下げるという英語ネイティブが行っている動作をしていない、ということです。
英語の【w】は、日本語の「ウ」、「ワ」とは異なり、舌の奥を使って発音する音素なのです。




←  【書籍「英語喉」レビュー】第34回  【書籍「英語喉」レビュー】第36回 →

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番外編2


記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」にて、Drill 01 のKAZ氏の【w】が英語のネイティブスピーカーの発音方法と異なっている、と書きました。

キャンディ・メソッドの「透視」・「体感」と、KAZ氏【w】の音の途中から高い周波数成分が発生していないことを根拠として、このように私は書いたのですが、「そうかな〜?」と納得できていない人も多い筈。

今回はKAZ氏と英語のネイティブスピーカーとで、【w】の発音が同じなのか、異なるのか、前回より科学的に、フォルマントを見て検証してみたいと思います。


フォルマントの見方
  • F1:値が低い=舌の高さが高い、 値が高い= 舌の高さが低い=顎が下がっている
  • F2:値が低い=後舌、 値が高い=前舌
  • F3:値が低い=唇が丸まっている

フォルマントの参考値
  • 日本人男性の「ア」の平均値:F1が775Hz, F2が1163Hz
  • 日本人男性の「イ」の平均値:F1が263Hz, F2が2263Hz
  • 日本人男性の「ウ」の平均値:F1が363Hz, F2が1300Hz
  • 日本人男性の「エ」の平均値:F1が475Hz, F2が1738Hz
  • 日本人男性の「オ」の平均値:F1が550Hz, F2が838Hz
  • 日本人女性の「ア」の平均値:F1が888Hz, F2が1363Hz
  • 日本人女性の「イ」の平均値:F1が325Hz, F2が2725Hz
  • 日本人女性の「ウ」の平均値:F1が375Hz, F2が1675Hz
  • 日本人女性の「エ」の平均値:F1が483Hz, F2が2317Hz
  • 日本人女性の「オ」の平均値:F1が483Hz, F2が925Hz

尚、今回、フォルマント表示に使用したフリーソフトは、wavesurfer です。
今回の記事で使用した wavesuferの画面は、「Configuration」として "Demonstration"を選択し、更に"Formant Plot"ペインを追加したものです。



1. "Well"の【w】を比較してみた

(1)KAZ氏の "well"の W (【w】)

※Drill 01, 会話1の文 "I'm not feeling well." (p.220)


図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1:500Hz辺りで、ほぼ水平
  • F2:1300Hz辺りで、ほぼ水平
  • F3:2700Hz → 2400Hz → 2700Hz
この事から読み取れることは、
  • 舌は基本形です。(顎はあまり下がっていない。舌は中舌。)
  • 唇付近の筋肉がほんの僅かに、弛緩→丸め→弛緩 へと遷移している。
です。

一言で言うと、KAZ氏の "well"の【w】は、舌の動きは全く無く、唇付近の筋肉だけが僅かに動いている、という事です。
私が記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」の「4.(3)A」で、「透視」した通りでしょ?

(2)goo辞書の単語 "well"の【w】

goo辞書の単語 "well"のフォルマントを見てみましょう。
図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 340Hz →  500Hz へ上昇
  • F2: 1200Hz → 800Hz → 1500Hzへ変化。
  • F3: 3000Hz辺りで、ほぼ水平
この事から読み取れることは、
  • 顎の下げ方の変化は小さい。
  • 中舌→後舌→中舌へ変化。
  • 唇の丸めの変化は殆どない。
です。
これは記事「【書籍「英語喉」レビュー】第27回」の「4.(3)C」で書いたキャンディ・メソッドの方法と同じです。

(3)excite辞書の単語 "well"の【w】

excite辞書の単語 "well"のフォルマントを見てみましょう。

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 290Hz → 400Hz
  • F2:2000Hz辺りで小刻みに変化 → 740Hz → 930Hz
  • F3:3000Hz辺りで小刻みに変化
この事から読み取れることは、
  • 顎の下げ方の変化は小さい。
  • 舌が後舌に変化した後、中舌へ戻る変化が見られる。
  • 唇を丸めている。
です。


(4)KAZ氏と英語ネイティブの【w】の違い

上記(1)〜(3)により、KAZ氏と英語のネイティブスピーカーとでは、【w】の発音方法が異なることが分かると思います。
一番の違いは、KAZ氏は舌の奥を上げて、そして下げるという、英語ネイティブが行っている動作をしていない、ということです。
え? 比較方法が卑怯? KAZ氏のは、文章の中の "well"であるのに対して、英語ネイティブのは、単語として発音した "well"でしょ、だって?

うーん、そうですね。単語で発音した "well"と、文章の中の "well"に何か違いがあることは否定できませんね。

では、次はもっと条件を揃えて、KAZ氏と英語ネイティブが同じ文章を読んでいる音声で比較してみます。


2. "Guess what?"の【w】を比較してみた


(1)KAZ氏の "what"の W (【w】)

※Drill 02, 会話2の文 "Guess what." (p.224)

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1:500Hz辺りで、ほぼ水平
  • F2:1000Hz辺りで、ほぼ水平
  • F3:2700Hz辺りで、ほぼ水平
この事から読み取れることは、
  • 舌は基本形です。(顎はあまり下がっていない。舌は中舌。)
  • 【w】は途中で音が変わる音素ですが、KAZ氏のこの【w】は「ウ」にも似た響きを持つ弱母音で発音し、途中で音を変えてはいません。


(2)CDの女性ネイティブのW (【w】)

※Drill 02, "Guess what." (p.222)

図を見て下さい。波形のペインで選択されている部分が【w】部分です。
  • F1: 350Hz → 650Hz
  • F2:1000Hz → 1500Hz
  • F3:2700Hz辺りでほぼ平坦

この事から読み取れることは、
  • 後舌から後、中舌へ戻る変化が見られる。
  • 唇の丸めは少ない。
です。


(3)KAZ氏と英語ネイティブの【w】の違い

書籍「英語喉」に収録されたKAZ氏と、女性の英語ネイティブの【w】を比較しました。
上記(1),(2)は同じ文章、"Guess what."の中の【w】について、フォルマントを調べました。

検証結果はやはり、上記1(4)と同じです。

一番の違いは、KAZ氏は舌の奥を上げて、そして下げるという英語ネイティブが行っている動作をしていない、ということです。
英語の【w】は、日本語の「ウ」、「ワ」とは異なり、舌の奥を使って発音する音素なのです。




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